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データ分析における認知バイアスの罠

2016.05.27

認知バイアスの罠

アクシスでリスティング業務に携わっています。日々奮闘していますが、その過程で、大学の心理学の授業で学んだ「認知バイアス」の知識をリスティング業務における判断に役立てる事ができるようになりました。

今日はその認知バイアスがデータ分析にどう影響を及ぼすのかを紹介していきます。

 

まず、問題を出します。3秒以内にお答えください。

あなたは文房具屋さんで、鉛筆とノートを買いました。ノートは鉛筆より100円高く、二つの合計は110円でした。さて、ノートと鉛筆はいくらでしょう?

 

多くの人が100円と10円を思い浮かべたのではないでしょうか?

 

正しい答えは105円と5円です。

間違えた人は、素早く答えることに意識を向けたことで、正確さを犠牲にしてしまったのです。

 

人が判断を下す際、大きく分けて二通りの方法があります。

一つ目はシステム1と呼ばれる方法です。これは無意識に理由を見つけ、スピーディに意思決定を行い、ほどほどに正確な結論を得るという思考回路です。

二つ目は、システム2と呼ばれる方法で、意識的に集中して分析し、長い時間をかけて合理的な判断を行う思考回路です。

 

みなさんは買い物に行き、二つの服から一つを選ぶ際、それぞれの服の情報を完全に知った上で選択をしている訳ではありません。

経験に基づいて、ほどほどな情報量でまあまあ正確な判断を素早く下しています。

しかしこれは悪いことではありません。自分の満足できる範囲で、ある程度正しい判断を行うためにシステム1はとても便利です。

 

データ分析における判断は正確である事が求められます。しかし、認知バイアスは正確な判断を妨げてしまいます。

認知バイアスの及ぼす影響を知ってもらうために、データ分析において気付いた事例を3つご紹介します。

想起容易性バイアス

意思決定の際に、自分が思い出しやすい情報だけに基づいて判断する傾向。

交通事故を目の当たりにした後は、交通事故による死亡者数を多く見積ってしまう、など。

 

(例)ある通信英会話の退会理由を分析する際、フィリピン人講師へのマイナス評価がとても多いことに気付き、「フィリピン人講師に教育を行うべきではないか」と分析しました。

しかしこの判断は想起容易性バイアスに大きく影響を受けています。

 

なぜなら、講師の人種構成を見るとほとんどがフィリピンの方たちであり、フィリピン人講師へのマイナス評価が多くなるのは当然なのです。

それにも関わらず、フィリピン人講師へのマイナス評価が多いという理由で、まるで彼・彼女たちだけが悪い講師かの様に解釈するのは間違いでした。

 

さらに、お客様も想起容易性バイアスに陥っていると考えられます。

お客様が退会理由を書く際に、フィリピン人講師の事を思い出しやすい、ということにも注意が必要です。

対策まずは母集団の偏りを認識します。次に、お客様の声も偏っていることに注意しながら分析を行います。単に「目にする回数が多いから」という理由で「その事象が起こる確率が高い」という結論に至るのは正確ではない場合があります。母集団の構成と、お客様が意見を書いた背景を意識することで、この想起容易性バイアスを防ぐことができます。

確証バイアス

自分が持つ仮説を検証する時に、それを肯定する情報だけを集め、反対する情報を無視してしまうという傾向。

 

(例)既存の広告Aと、新しく作った広告Bの二種類の広告のどちらが優れているかを調べる際、しばしばABテストを行います。

新しく作ったのだから広告Bの方が良いだろうと強く仮定した上でテストを行うと、テストの期間が短かったりクリックの総数が少なかったりしても、広告Bをひいき目で見てしまいがちです。

 

短い期間なのに、クリック率が少し高いからという曖昧な理由で、新しい広告Bを採用し、誤った判断を下しているかもしれません。

不十分な根拠に基づいて先入観を肯定し、結論に至るのは信頼性に欠けます。

 

もちろんある程度の予想はしますが、テスト前に必要以上に過信すると、無意識のうちに自分の意見に沿うように情報を解釈してしまいます。

自分の仮説を補強するためテストの結果を利用するのは、先入観によって偏った判断に繋がります。テストをした上で、意見を形成しましょう。

対策確証バイアスの影響は、統計的有意性を確かめることで防ぐことができます。ABテストで得た結果の信頼性が95%以上である事を指標にすることで、客観的な根拠を基に判断を下すことができます。しかし、テスト結果の統計的有意性を得るには、かなり多くのクリック数が必要です。そういった時は、200クリック以上を指標にして判断を行う、などというように、状況に応じて対策を行うようにしましょう。

偽の合意効果

自分の態度や行動を一般的なものと信じ、他の人も同じ状況なら自分と同じ行動をするだろうと考える傾向。

自分ひとりの意見なのに、存在しない合意があるかのように感じさせる。

 

(例)自社ECサイトを見て、改善点を挙げる業務をしていました。自分がユーザーになった気持ちでサイトを閲覧していたのですが、通販のサイトで「会社説明」のページは必要なのだろうか、と疑問に思いました。

そのページには、実際に商品を取り扱っている弊社の社員の写真やコメントが載っています。

そこで上司にその事を伝えたところ、「会社説明で誰が商品を扱っているのか見えることで安心する」というお客様の声を知らされました。

 

消費者行動を予測する際、自分の選択や行動をそのままお客様に投影してしまい、誤った分析を行ってしまいました。

自分ひとりの持つ印象だけで一般的な意見を決定してしまうと、実際とはかけ離れた意見になってしまう可能性があります。

対策会社内でお客様像に近い人にサイトを閲覧してもらい、意見を聞くことでより正確な意見を得ることができます。お客様像に近い人が居ない場合は、自分とは異なる人物像を持つ人に意見を聞いてみましょう。異なる視点を得ることで、偽の合意効果による判断の偏りを防ぐことができます。

まとめ

今回のブログで紹介した認知バイアスは氷山の一角であり、試しに「認知バイアス 種類」と検索してみると、とんでもない種類のバイアスが出てきます。

まずは認知バイアスの存在を知り、意識することが大切です。

 

しかし単にバイアスを意識しろと言われても、具体的にどう意識したらいいのか疑問に思うかもしれません。

そこで、まずは自分が自然だと思っている事を疑う、という癖をつけましょう。

リスティング業務において判断を下す際に少し時間を取り、「なぜ自分はこの根拠でこの結論が自然だと思ったのか」と自問してみます。

 

もしかしたら無意識のうちに、直観や先入観に基づいて判断を行っているかもしれません。

「フィリピン人講師へのマイナス評価が多いという根拠で、彼・彼女たちだけの質が低いという結論に至るのは正しいのだろうか?」という感じです。

事実と証拠を客観的に解釈した上で正しい分析を行いましょう。

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