PPCに限らず広告を出稿するにあたり、もっとも気にかかる点は費用対効果が合うか否かではないでしょうか。
Google AdwordsやYahoo!プロモーション広告などのPPC広告では多くの場合においてCPO(注文獲得単価)で費用対効果を計測する場合が多いのですが、ECサイトの集客においてはROAS(売上と広告費)で費用対効果を計測する方が実際に収益が出ているか可視化しやすい場合があります。
専用のスニペットコードをサイトに設置することで注文完了ページ上に価格が表示されている場合に限り、PPC広告経由で具体的にいくらの売上があがったか、管理画面上で確認する機能があります。
しかしながら、多くのECサイトにおいては、下記のように注文価格は表示されず、「ご注文ありがとうございました」のメッセージのみを表示する注文完了ページも存在します。
このようなECサイトでPPC広告の売上を集計して、実際に管理画面上で確認するためには少し複雑な計測設計が必要となります。
そこで、今回はGoogle Tag Manager(以下、GTM)とCookieを使って売上計測を行うための設計方法について解説していきます。
内容としてはHTMLの基本的な知識があり、かつGTMを用いて通常のコンバージョン計測の設計ができる方向けの記事となりますが、よろしければご覧下さい。
手順1:注文価格の取得
まず、予め計測対象となるECサイトの全ページにGTMのスニペットコードを埋め込み、GTM上にてコンバージョン計測の設定を行っておきます。
次に注文確認ページから注文価格を取得するための設定を行います。
下記ページを例に説明していきます。
注文価格が表記されている周囲のHTMLは下記のような構成になっています。
18,883円
ここでは、「span」タグの「class」属性の値が「price」ということになります。
上記を踏まえた上で、下記の画像を参考に新しいユーザー定義変数を作成します。


③には「get_price」(両端のカッコは除く)と記述、④ではカスタムJavaScript選択、⑤の欄には下記のコードを貼り付けます。
function(){
var allElements = document.getElementsByTagName('span'); //タグの名称を最後に記述
for (var i = 0, j = 0; i < allElements.length; i++){
if (allElements[i].getAttribute("class") == 'price'){ //属性と値を記述
var pp_price = allElements[i].innerHTML;
pp_price = pp_price.replace(",","");
pp_price = pp_price.substr(1);
}
}
return pp_price;
}
span、class、priceの部分はご自身の環境に置き換えて下さい。
手順2:Cookieへ注文価格を記録する方法
手順1にて取得した情報をCookieへ書き込みを行います。
下記手順を参考に新しいカスタムHTMLタグを作成します。


⑤の欄には下記の内容を貼り付け、⑥にはチェックを入れます。
/* ここにディレクトリパス */の部分には、注文確認ページ(注文価格が表示されているページ)のディレクトリパスを入れます。
最後に⑦の配信するタイミングでは注文確認ページ(注文価格が表示されているページ)を設定してします。
手順3:Cookieへ記録した注文価格の読み込み方法
最後に、注文完了ページにて手順2で書き込んだCookieを読み込むユーザー定義変数を作成します。

③には「cookie_price」(両端のカッコは除く)と記述、④ではカスタムJavaScript選択し、⑤の欄には、下記のコードを貼り付けます。
function(){
var result = null;
var cookieName = name + '=';
var allcookies = document.cookie;
var position = allcookies.indexOf( 'kakaku' );
if( position != -1 )
{
var startIndex = position + cookieName.length;
var endIndex = allcookies.indexOf( ';', startIndex );
if( endIndex == -1 )
{
endIndex = allcookies.length;
}
result = decodeURIComponent(
allcookies.substring( startIndex-1, endIndex ) );
}
return result;
}
最後にコンバージョンタグの設定において、コンバージョン値に{{cookie_price}}(両端のカッコを含みます)を設定することでCookieに記録しておいた注文価格を当てはめることができます。
手順4:PPC広告管理画面上での売上の確認方法
上記設定後、実際にコンバージョンしたら売上を確認してみましょう。

Adwordsであれば上記の手順で合計コンバージョン値を表示項目に追加することで、下記のようにPPC広告経由での売上を出すことができます。
如何でしたでしょうか。少し複雑な内容でしたが、PPC広告を運用するにあたって売上計測が実現できると、PDCAサイクルが回しやすくなります。
是非、チャレンジして見て下さい。
