さまざまなSNSが登場した現代においても、メルマガはいまだに有効的なマーケティングの手法です。
実際に企業からのメルマガを受け取っている方も多いはず。
しかし、企業の担当者さんからはこんなお悩みをしばしばお伺いします。
「メルマガは出しているけど、あまり効果が感じられない…」
「どんな内容を書けばいいか分からず、挫折してしまった…」
そこで今回は、成果を出すメルマガづくりの考え方とコツについて紹介します。
メルマガづくりで悩むWeb担当者さんは、ぜひご覧ください。
売りが強いメルマガはうまくいかない
メルマガ施策でよくある失敗
メルマガで失敗する主な理由の一つは「商品やサービスの宣伝をとにかく送りつける」ことです。
例えば、もし毎週興味のないサービスのチラシがあなたの家のポストに届くとしたら、どう感じるでしょうか?
おそらく多くの方は、「投函ありがとう」とは思わないでしょう。
むしろ、企業に対してネガティブな印象を抱く人の方が多いのではないでしょう。
同様に、メルマガを購読している人たちの多くは、残念ながら、あなたの商品やサービスにそれほど興味を持っていないかもしれません。
もし本当に興味があるのであれば、既にお問い合わせや資料請求しているはずです。
だからこそ、売り込みが強すぎるメルマガはうまくいかないのです。
リアクションが減ると、開封すらされなくなる
売り込みが強すぎるメルマガは効果が薄いと言われていますが、「少しでも反応が得られればいい、だから多く送ればいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
確かに、送信数を増やすことで成果を上げると勧める記事も見かけます。
しかし、このアプローチは逆効果となる可能性が高いです。
なぜなら、Gmailなどのメールサービスはユーザーの行動、例えばメールの開封などを基にエンゲージメント※1を測定しており、エンゲージメントが低いメールは迷惑メールフォルダに分類されるからです。
この状態を「グレーメール」と呼びます。
当然、迷惑メールフォルダに移動されたメールは見落とされやすく、全体の開封率が低下します。結果として、重要な情報が読者に届かなくなってしまうのです。
では、どうすればいいでしょう?
答えは、読者が読みたいと思う内容を丁寧に作成し、コンスタントに送ることでエンゲージメントを高く保つことです。
「いつも良い内容を送ってくれる」と感じられれば、自然とメールは開封されます。
そして、読者が読みたいと感じるメールを継続して送ることで、メルマガの効果も向上していくのです。
※1 エンゲージメント
読者がメルマガにどれだけ関心を持ち、積極的にコンテンツに触れているかを示す指標です。
具体的には、開封率、クリック率、返信率などの行動データを用いて測定されます。
成果を出すメルマガづくりで重要な考え方
ここから、成果を出すメルマガづくりで重要な考え方を紹介していきます。
それは、以下の3つです。
- 自社の得意分野について、専門家であることを伝える
- 読者に「有益だ」と思われるコンテンツを作る
- 継続的に関係を築き、ニーズが生まれた際に思い出してもらうこと
それぞれについて詳しく説明していきます。
1.自社の得意分野について、専門家であることを伝える
まず最初に重要なのは、自分たちの専門知識をメルマガを通じて伝えることです。
BtoBの集客施策においては、無料相談をフックに商談を生むアプローチが定番となっています。
しかし、メールを受け取る側から見れば、知らない会社に相談することは、無料だとしてもハードルが高いものです。
例えば、道端で全く見知らぬ人に声をかけられても、重要な相談はしないでしょう。
だからこそ、メールを受け取った人に対して「この会社は業界に詳しいし、自分たちの課題に対する解決策を持っている」という認識を持ってもらうことが重要です。
たとえば、私たちアクシスはデジタルマーケティングを支援する会社です。
メルマガでは、デジタルマーケティングに関する最新のニュースや有益な情報を中心に提供しています。
このようなコンテンツを継続して提供することで、専門家としての認識を築くことができます。
2.読者に「有益だ」と思われるコンテンツを作る
2つ目に重要なのは、有益な情報を提供する会社であると認識してもらうことです。
先に述べたように、たとえ専門分野に詳しい企業であっても、売り込みばかりのメルマガを送ると、読者の興味を失ってしまう可能性が高いです。
そこでメルマガでは、「購読することで自分にメリットがある」と感じられる内容を提供することが重要となります。
メルマガは1回の送付ごとに1トピックを取り上げ、そのトピックに関する内容を簡潔にまとめます。文量はちょっと長いSNS投稿くらいを目安にします。
そして最後に、そのトピックに関連したブログ記事を紹介し、詳しく知りたいと思う読者にも対応できるように構成しています。
この方法で、読者にとって有益なコンテンツを提供することができ、開封率を向上させて成果を拡大することが可能となります。
3.継続的に関係を築き、ニーズが生まれた際に思い出してもらうこと
最後に重要なのは、関係を継続的に築き、信頼を積み上げることです。
B2Bの領域では、商談に至るまでの期間が比較的に長くなることが多いです。
最初の接点ではニーズが全くない場合でも、市場環境の変化や会社方針の変更によって、突如として商談が発生することもあります。
だからこそ、メルマガを通じて関係を継続し、ビジネスの機会が生まれた際に「あの会社に相談してみよう」と思い出してもらえるよう努めることが重要です。
成果を出すメルマガ作りの5つのステップ
ここからは実際にメルマガをつくる上で重要な5つのステップを紹介していきます。
- 配信先リストを整理する
- メルマガの目的とゴールを定める
- メール本文のタイプを決める
- 読みたくなるメールタイトルを付ける
- 必ずテスト送信して確認する
ステップ1.配信先リストを整理する
まず最初に、配信リストを整理し、その鮮度を保つことが重要です。
そのためには、ハードバウンス(宛先不明)やオプトアウト(配信解除)した人に対しては、メールの配信を行わないようにしましょう(多くのメール配信システムでは、自動で送信を除外する機能が提供されています)。
さらに、グレーメールのリスクを避けるためにも、エンゲージメントが比較的高い人を中心にメールを送ることがおすすめです。
具体的には、「●●日間メールの反応(開封やリンククリック)がない人は送信対象から外す」といったアプローチを取ることが効果的です。
このようなユーザー行動に基づいたリストの管理は、マーケティングオートメーション(MA)の力を借りて効率化することが可能です。もしMAを導入しているのであれば、ぜひ活用してみてください。
ステップ2.メルマガの目的とゴールを設定する
ステップ2では、メルマガの目的とゴールを設定します。
メルマガを通じて読者にどのような行動をとってもらいたいのかを考え、その期待される行動を基に文面を構築していきます。
例えば、あなたが書いたブログ記事を紹介したいというのが目的であれば、期待する行動(ゴール)はブログ記事へのリンクをクリックしてもらうことになります。
このケースでは、メルマガの内容は読者に「もっと詳しく知りたい」と感じさせるように工夫する必要があります。
具体的には、ブログ記事の主要なポイントに触れつつ、「続きは記事で確認してください」といった誘導を行う構成が効果的でしょう。
メルマガの構成を考えるための表
このように、メルマガの目的とゴールをあらかじめ定めておくことで、首尾一貫した内容を作成し、反応も得やすくなります。
また、ゴールを事前に定めておくと、のちの効果検証時に見るべき指標が明確になるためオススメです。
ステップ3.メール本文のタイプを決める
ステップ3では、メールの本文を作成します。
メルマガは大きく分けて以下の2タイプに分類できます。
- お手紙型メルマガ
- 情報提供型メルマガ
それぞれのタイプについて説明します。
- お手紙型メルマガ
メリットは、書き手の人となりが滲み出るため、共感を得てファンが付きやすいことです。
たとえば、静岡のマーケティング支援会社サンロフトさんが発行されていた「今日は木曜日」は、多くのファンがいて毎回メルマガに返信をしてくれる方もいたそうです。
一方で、かなり属人的になるため、再現性が高くないのがデメリットです。 - 情報提供型メルマガ
情報提供型メルマガは、コンテンツが主役となるタイプのメルマガです。
このタイプのメルマガは、コンテンツの質で勝負するため、チームとして取り組みやすいというメリットがあります。
しかし、デメリットとしては、お手紙型メルマガに比べて共感を得にくい点があります。
どちらのタイプを選ぶかは企業の状況や目的により異なりますが、情報提供型メルマガの方が作成しやすいでしょう。 なぜなら、お手紙型メルマガはセンスが求められ、属人的になりがちである、というデメリットがあるためです。
ステップ4.読みたくなるメールタイトルを付ける
ステップ4では、読者の注意を引き、開封率を向上させるための魅力的なメールタイトルの作成です。
メールタイトルは、開封率を大きく左右するため、非常に重要なパートです。
メールタイトルの付け方は、コピーライティングの書籍なども参考にするとよいでしょう。
以下は、メールタイトルを作成する際に考慮すべきポイントです。
- キーワードはできるだけ左(文頭)に入れる
- できるだけコンパクト(20~30字程度)にする
- ターゲットを明確にする(「〇〇にお悩みの方へ」などの表現を使う)
よく言われるテクニックも必ずしもすべての企業で成果が出るわけではないので、とにかく試行錯誤してみることが大切です。
また、開封率を向上させたいからという理由で煽り表現を使用することはおすすめしません。
メールタイトルと本文の内容にギャップがあると、読者にネガティブな印象を与える可能性があるからです。
ステップ5.必ずテスト送信して確認する
ステップ5は、必ずテスト送信して確認することです。
メルマガの配信事故は、企業の信頼を失うことにも繋がりかねません。
だからこそ配信前にはテスト送信をして、複数人で確認するオペレーションを組みましょう。
特にテスト送信でチェックしているポイントは、以下のとおりです。
- 配信先リストは間違っていないか
- 差出人や送信メールアドレスは間違っていないか
- リンクは貼り間違えていないか(リンク切れにならないか)
- 差し込み設定をしている場合、設定ミスがないか
- メールタイトルや本文に、誤字脱字などはないか
テスト送信して、実際にメーラーで確認してみると、細かいミスに気がつきます。
修正が完了するまで、何回かテスト送信を行い、確認を重ねることを忘れないようにしましょう。
メルマガ施策でより成果を出すために
最後にメルマガ施策を継続して改善していくためには、以下の3つポイントを考慮することが重要です。
- 周りの人に読んでもらい、フィードバックを受ける
- 指標をきちんと測定して振り返る
- ABテストで勝ちパターンを探る
周りの人に読んでもらい、フィードバックを受ける
メルマガの執筆は個人の視点だけで行われると、内容の良し悪しを客観的に評価することが困難になります。
社内の他の人にメルマガを読んでもらうことで、自分では気づきにくい改善点や新しいアイディアを提供してくれる可能性があります。
- 文量は適切か
- 表現に分かりづらいところはないか
- 専門用語を使いすぎていないか ...などです。
フィードバックをもとに改善を続けることで、徐々にメルマガのクオリティも向上していくはずです。
最初は恥ずかしいとは思いますが、他の人のフィードバックを受け入れることは、成長と改善のために非常に効果的です。ぜひ周りの方に見てもらうことを心がけてみてください。
指標をきちんと測定して振り返る
メルマガの効果を評価し、改善点を見つけるためには、送信後に指標を確認し、振り返ることが重要です。
メルマガで見るべき指標は、以下の4つです。
- 送信数
- 開封率
- クリック率(クリック数/開封数)
- オプトアウト率
これらの指標をメールごとに記録し、分析することで、改善すべきポイントや読者の反応が良かったテーマを特定することができます。
また、これらのデータを利用して次のコンテンツ作成に活かせます。
ただし、メルマガを送っただけで終わらせず、定期的にこれらの指標をチェックし、振り返って検証してみてください。
A/Bテストで勝ちパターンを探る
メルマガの効果を最大化するには、試行錯誤と検証を繰り返しながら進めることが欠かせません。
そのために役立つのが、A/Bテストです。
メルマガにおけるA/Bテストとは、配信先のリストの一部、それぞれ違うパターンのメルマガを送り、どちらの反応がよいかを比べてみる手法です。
例えば、私たちアクシスの場合、メールタイトル付けのコンテストを時々しています。
1人1案、メールのタイトルを考えて、誰のアイデアのタイトルが一番読者の反応がよいかを実際にテストしてみることで、みんなでテクニックを学べるのです。
何が正解かわからないメルマガでは、とにかく検証してみることが重要です。
ぜひA/Bテストを通して、あなた自身のノウハウを蓄積していってください。
おわりに
この記事では、アクシスでのメルマガ配信の経験をもとに、成果を出すためのメルマガのつくり方について紹介しました。
メルマガの成功の鍵は、読者が価値を見出し、読みたいと思うコンテンツを継続的に提供することにあります。信頼を築くためには時間がかかりますが、信頼が築かれれば、それが商談や売上の増加につながる可能性があります。
また、メルマガは、お客様とのコミュニケーションを深め、関係を築く効果的なツールとなります。それはまた、企業の価値を示し、業界のエキスパートとしての立場を強化する機会でもあります。
ぜひ、本記事を参考に効果的なメルマガの作成と配信を進めてみてください。