あなたは、こんな話を聞いたことはありませんか?
商品購入や資料請求などを行うCTA。
一般的に、CTAは記事の最後に置くことが多いです。
なぜなら、最後まで記事を読んでくれるサイト訪問者は熱量があるので、反応率が高いからです。
一方で、サイト訪問者がほとんど見ない場所にあったら、当然押される確率も低くなりますよね。
実際、ページの下部に行けば行くほど、サイト訪問者は読むのを辞めてしまいます。
だとすれば、ページの上側にも置いた方がいいのでしょうか。
そこで、この記事では、CTAボタンの位置とクリック率について検証していきます。
結論としては、CTAボタンの位置によってクリック率は変わります。
ただし、最終的な成約数は変わらないかもしれません。
CTAの改善は、サイトの結果にすぐに直結する改善策です。
あなたのサイトを改善する時、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
サイト訪問者は、記事の下部に行くほど減っていく
通常、サイト訪問者はページ最上部にランディング(到達)し、そこから下の方に向かって読み進めます。
どれだけ素晴らしいコンテンツを連続して配置しても、下に行けば行くほどユーザーの離脱は増えてしまいます。
最後まで読まれないのは、ある意味、仕方がないかもしれません。
一例としてある縦長のページにおいて、スクロール量を計測した結果を紹介します。

ページの下に行けば行くほど、閲覧する人数は減っていきます。
サイトによって減り方は多少異なりますが、この傾向はどのサイトでも同様です。
ページの下部に辿りく人は、ページが長ければ長いほど、減っていくと考えてください。
それでは、CTAボタンは上の方に置いた方がよいのでしょうか?
単純に考えると、ページの下の方に設置すると閲覧ユーザーが減っていくので、上の方に設置したほうが良さそうな気がします。
しかし同時に考えたいのは、CTAボタンを押すようなサイト訪問者は、熱量が高いことです。
仮に、CTAボタンが下の方にあったとしても、熱量があれば、スクロースしてくれるから上でも下でも関係はないかもしれません。
一方で、熱量がない人は、仮にCTAボタンが上にあっても押さないかもしれません。
ボタンの位置とクリック率の変化
では実際にボタンの配置場所によって、クリック率は変わるのでしょうか?
とある不動産サイトの事例で検証してみたいと思います。
この不動産サイトでのCTAボタンは、「会員登録」になっています。
このサイトでは、不動産を買ったり売ったりする前に、まず個人情報を入力する必要があります。
今回は、この会員登録ボタンのクリック率で検証してみたいと思います。
メモ
サイトへの流入は、検索エンジンが中心です。不動産を売買したいというニーズを持った方を集めています。
ボタンを下にすると、クリック率は落ちる
では結果を見てみましょう。
左側の結果がCTAボタンを上に設置したときのケース、右側が下に設置したときのケースになります。
データの集計期間はそれぞれ約180日間、ユーザーは新規ユーザーだけに絞った結果になります。
訪問者数に関しては、大規模なサイトなので充分にあると考えていただければと思います。

CTAボタンが上部 | CTAボタンが下部 |
---|---|
1.62% | 1.03% |
改めて結果をみると、左図のデータが示すとおり、右上にある会員登録ボタンの CTR は1.62%になります。
そして会員登録ボタンを下に配置したところ、CTAボタンのCTRは1.03%に下がるという結果に。
事前に想像していたとおり、ボタンを下のほうに移動するとユーザーさんのクリック数は減少することは確認できました。
メモ
余談ですが、サイトのリニューアルテストをする際には、初めてのセッション同士(新規ユーザー)で比較をすると、ノイズが少ない状態で比較できます。
CTAボタンが上部にあるから、誤クリックが多い?
ここでまた新しい疑問が出てきます。
CTAボタンを上部に配置したときの方が、会員登録ボタンのクリック数が多かったですよね。
しかし、それは間違えてクリックした人も含むからではないのか?という疑問です。
上の方にボタンがあると、軽い気持ちでクリックする人が多いかもしれません。
仮にそのようなケースだと、上部にボタンを置いたとしても、クリック数の増加に比例して注文は増加しない。
つまり CVR (成約率)は下がるという可能性が高いですよね。
このサイトの目的は会員獲得であり、その先にある注文数の増加になります。
ボタンが上にあるとか下にあるとか、クリック数が多いとか少ないとかは関係ありません。
結局、最終的に会員獲得数が同じであれば、どちらでもいい訳ですね。
ボタンを下部に設置すると、CTRは下がる。CVRは上がる
デバイス別に、CTAボタンを押して登録した方の注文率を算出した表が以下になります。
季節変動を減らすため、ボタンの配置を変更した前後25日間のデータを集めました。

スマホユーザーにおいて、ボタンを下部に置いてあるときの方がCVRは高くなりました。
つまり、ボタンを下部に置くとクリックをするユーザーは減ります。
しかし会員登録する人の総数は変らないため、結果としてCVRが改善したかのように見えると考えられます。
なおパソコンでは特に変化はありませんが、これはレイアウトの関係でクリック数もほとんど変わらなかったからだと想像します。
まとめ
ここまでをまとめますと、以下の2つの解釈ができます。
- ボタンの配置を変更するとクリック率には影響を与える
- トータルの注文数は変らない可能性がある
もちろん今回の事例は、たまたまという可能性もあります。
また、データの集計期間によっては別の仮説が立つこともあります。
大切なことは、多くの事例に多角的に触れることによって、分析の幅を広げることだと考えています。
今回の事例を通して、みなさまが CTA ボタンを設置する際に、思考するキッカケのひとつになれば幸いです。
CTAボタンを設置する目的を常にわすれず、なぜ配置場所を変えようと思ったのか、その場合はどのように評価していくのか。
常に意識しながらサイト改善に努めていきましょう。