ホームページ制作やWeb施策の中で、「ランディングページ(LP)」という言葉がよく登場します。
高いコンバージョン率が期待できるランディングページは、多くの企業がマーケティングの手法の一部として取り入れています。
とはいえ、「ランディングページって具体的にどのようなもの?」「自社でLPを作りたいけれど、どうすればいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ランディングページの基本概念から、効果的な作り方、注意すべきポイントまで網羅的に解説します。
これからランディングページを作成する予定の方や、さらに効果的なランディングページの作成方法を学びたいと思っている方は、この記事を参考にしてみてください。
ランディングページ(LP)とは?
ランディングページ(Landing Page)という言葉は、一般的に2つの意味で使われます。
- ユーザーが検索結果やWeb広告をクリックした後に、最初に訪れるページ。
- 1ページだけで商品やサービスの情報を伝え、コンバージョンを目的とするページ。
「Landing Page」は、英語で「着地するページ」という意味を持ち、多くの場面で「LP(エルピー)」と略されて呼ばれます。
この記事では、2つ目の「コンバージョンを目的するランディングページ」に焦点を当てて、詳しく解説します。
ランディングページの特徴
特定の商品・サービスに焦点を当てたページ
ランディングページの主な目的は、特定の商品やサービスへの強力な訴求です。
そのため、複数の商品を一度に紹介するのではなく、一つの商品やサービスだけに焦点を絞って内容が展開されます。
ページは、商品の詳細説明からスタートし、その後に実績やお客様の声など、信頼性を高める情報が続きます。
これらの情報は、物語のような連続性を持って配置されることが一般的で、ユーザーはページの上部から下部へと自然に情報を追っていくことができます。
ページ内のリンクは最小限
ランディングページの特徴の一つとして、他のページへのリンクが極端に少ないことが挙げられます。
これは意図的な設計で、ユーザーの動線をスムーズにし、コンバージョンを促進するためのものです。
多数のリンクが配置されていると、ユーザーは他のページへと移動しやすくなり、例えば商品の購入や問い合わせフォームへの到達が難しくなる可能性があります。
離脱のリスクを低減するため、リンクの数は最小限に抑えられています。
情報を効果的な順序で伝える
ランディングページを活用することで、企業は商品やサービスの情報を最も効果的な順序でユーザーに伝えることができます。
どの情報をどのような順序で伝えるべきかのイメージがつかみにくい場合、テレビの通販番組を参考にするとわかりやすいでしょう。
多くの通販番組は、「こんなお悩みはありませんか?」や「最近○○が気になる…」という問題敵からスタートします。続いて、商品の特徴、活用事例、そして実際のユーザーの声や感想を通じて、商品の価値を伝えていきます。
番組の終盤では、特別な価格や特典の情報を紹介し、視聴者の購入意欲を引き出します。
ランディングページも、このようなストーリの流れを持つことで、ユーザーの関心を引き付け、購入意欲を高めることが可能です。
ホームページとランディングページの違い
ホームページ | ランディングページ | |
ページ構成 | 複数ページ | 1ページ |
役割・目的 | 情報提供 | 行動喚起(購入・お問合せ) |
流入経路 | 検索エンジン
(Google、Yahoo!など) |
主にWeb広告
(リスティング・SNS) |
ホームページとランディングページは、どちらもWebページの一形態ですが、その構成や目的には明確な違いがあります。
ホームぺージ
ホームページは、通常、複数のページから構成されるWebサイトの入口となります。
主な目的は、自社の商品やサービスの情報提供やブランドのイメージ形成です。
多くの場合、Googleなどの検索エンジンからのアクセスが中心となります。
また、ホームページは長期的な情報の提供や、企業の信頼性や専門性を伝えるための場所としても機能します。
ランディングページ
ランディングページは、一つの特定の目的に特化した単一のWebページです。
ユーザーに特定の行動、例えば商品の購入や問い合わせを促すことが主な目的となります。
このページへのアクセスは、多くの場合、Web広告やメールマーケティングなどの特定のキャンペーンを通じて行われます。
ランディングページは、短期的なキャンペーンや特定のターゲット層に対する訴求が求められる場合に特に効果的です。
ランディングページの構成と作り方
ランディングページは「ヘッドライン」「イントロ」「ボディコピー」「クロージング」の4つの要素から構成されています。
ランディングページ(LP)の構成
ヘッドライン(ユーザーの興味を引く)
ヘッドラインは、ランディングページの最も目立つ部分であり、訪問者の最初の注目を集める要素です。
これが訪問者の興味を引き付けるかどうかが、ページの成果に大きく影響します。
訪問者は、広告や検索結果から特定の期待やニーズを持ってページにアクセスします。
このため、ヘッドラインはユーザーの関心を即座に捉え、ページに留まる理由を提供する必要があります。
効果的なキャッチコピーと魅力的なアイキャッチ画像を組み合わせることで、訪問者をさらにページの内容へと引き込むことができます。
キャッチコピーのアイデアに困ったときは、以下のヒントや具体的な例を参考にしてみてください。
キャッチコピーのパターンと活用例
キャッチコピー12のパターン
- 方法の提示
「簡単にダイエットする方法」「効果的に英語を学ぶためには」「ストレスを感じない生活の秘訣」 - 質問
「健康的な食生活とは?」「本当に5分で料理ができるの?」「AI技術の最新トレンドをご存じですか?」 - 問題提起
「あなたはダイエットでこんな間違いをしていませんか?」「スキンケアによくある5つのミス」「英語学習でよくある3つの落とし穴」 - 秘密公開
「美肌の秘訣」「あの有名人がヨガをする理由」「トップセールスマンの営業テクニックの秘密を公開」 - ターゲット設定
「学生の方に」「肌トラブルでお悩みのあなたに」「いつか世界一周したい人」 - 仮定
「もし月に1回の旅行が無料だったら」「たとえ忙しくでも」「いつか企業したい人へ」 - 勧誘
「今すぐイベントに参加しませんか?」「さあ、新しい趣味を始めませんか?」「求む!ボランティアスタッフ」「募集!新メンバー」 - 情報提供
「新メニュー」「最新の健康法をご紹介」「発表!新商品ラインナップ」 - オファー
「今なら初回無料」「先着100名様に豪華特典をプレゼント」「期間限定!30%オフ」 - アドバイス
「新社会人へのアドバイス」「新発見!毎日の食事が健康に役立つ」「毎日の洗顔は必要ありません」 - ストーリー
「健康的な食生活に変えるとみんなが...」「私の海外一人旅の体験を披露」 - 対比
「顧客を大切にする会社、そうでない会社」「できる会社、できない会社」「ビフォー:アフター」
企業のキャッチコピーの事例
以下では、企業が採用するキャッチコピーの一例をご紹介します。
方法の提示
- 疲労回復の3つの方法!疲れたときはお試し(大正製薬)
- 「一歩踏み出せない」あなたをエースにする方法(日経ビジネス)
質問
- 税務署が許さない「露骨な相続対策」とは(ダイヤモンドオンライン)
- 目の充血にはさまざまな種類があるのをご存じですか?(ジョンソン・エンド・ジョンソン)
秘密公開
- 50代でやりたい仕事を実現するための7つに秘訣(ダイヤモンドオンライン)
勧誘
- 内側から、私を磨こう。きれいのリズム(再春館製薬)
イントロ(関心・親近感を持たせる)
また、イントロ部分は、ユーザーに「このページは自分が求めている情報や興味に合致している」という確信を与える要素でもあります。
そのため、明確で分かりやすい表現を心がけ、ユーザーの期待に応える内容を提示しましょう。
ボディコピー
1.商品やサービスの説明
商品やサービスの魅力を明確に伝えることは、ユーザーの関心を引き付ける重要な要素となり、コンバージョン率を高めるための基本的なステップです。
美容関連のランディングページであれば、商品の成分や効果を具体的に紹介し、使用前後の写真を掲載して、効果の実感をアピールするのが大切です。
サービス提供時には、利用方法や料金プラン、提供エリアの情報をしっかりと記載すると、サービスの魅力が伝わりやすくなります。
特に、他のサービスとの違いや優れた点を強調すると、ユーザーの関心を引きやすくなります。
2.購入者・利用者の声
商品やサービスの詳細を伝えるボディコピーとは一線を画し、購入者や利用者の声は大きな説得力を持ちます。
例えば、あるスキンケア商品を取り扱ったランディングページで、製品の保湿力や成分を詳しく説明するだけでなく、30代女性の「この商品を使ってから、肌の乾燥が減った!」や20代男性の「敏感肌でも使えて、肌荒れが改善された」といったリアルな声を掲載することで、多くのユーザーの共感を得ることができます。
多くのユーザーは、購入や利用を検討する際に、既にその商品やサービスを経験した人々のフィードバックやレビューを参照して判断を下します。
このような背景から、ランディングページには実際の利用者の声を取り入れ、信頼性をさらに強化することが不可欠です。
3.購買意欲を促進する要素の提示
価格やキャンペーン情報、特典といった情報を提示することで、ユーザーの購買意欲を高めやすくなります。
また、購入時に不安を感じるユーザーへの安心感を与えることも大切です。
例えば、商品の返品や交換の規定や、安全性を確保するための認証マークを提示することで、ユーザーに安心してもらえます。
商品やサービスの説明を明確にさせ、購入意欲を引き出すために、工夫を凝らして作成しましょう。
クロージング(申込)
クロージングは、ユーザーに商品やサービスを購入するか否かという最後のアクションを促すことです。
具体的には、商品の購入やサービスの申し込み、お問い合わせなどです。
クロージングでは、以下の要素を検討してみてください。
1.CTA(購入・お問合せ)ボタンの配置
クロージングで特に大切なのは、アクションを引き起こすCTAボタンです。
CTAボタンは、目を引く色や形、文言を選ぶこと、そしてボタンの配置も重要です。
実は、弊社での検証によると、ボタンの位置によってクリック率が変わることが明らかになっています。
「CTAボタンは上の方に置いたほうがいいの?ボタンの場所がクリック率に影響を与える検証してみた」という記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
2.オファーの強調
保証や返金保証の強調
クロージングの最終部分で、ユーザーに安心感を与える要素を強調することは、購入の障壁を低くするために非常に効果的です。
保証の提示
商品やサービスの品質に自信がある場合、その保証を明確に示すことで、ユーザーの不安を取り除くことができます。
例えば、「1年間の品質保証」や「100%満足保証」などのフレーズを使用すると良いでしょう。
返金保証の紹介
返金保証は、特にオンラインショッピングにおいて、ユーザーの購入意欲を高める強力な要素となります。
購入後に商品やサービスに満足できない場合の返金プロセスを明確に説明し、ユーザーにリスクなく購入を検討してもらうことが目的です。
顧客の声や評価
既存の顧客からのポジティブなフィードバックや評価をクロージング部分に掲載することで、新しいユーザーにもその商品やサービスの価値を伝えることができます。
これらの要素を適切に組み合わせることで、ユーザーに安心感を提供し、アクションを起こす確率を高める効果的なクロージングを構築することができます。
ランディングページを作る上で心がけること
「誰に」「何を」「なぜ」「どのように」を意識する
ペルソナの一例
マーケティングにおいて「ペルソナ」とは、自社の商品やサービスを利用する理想的な顧客の人物像を具体的にもモデル化したものです。
このペルソナは、名前、年齢、性別、職業、役職、年収、居住地、生い立ち、趣味、ライフスタイル、休日の過ごし方、よく使うSNSなど、詳細な情報を含むプロファイルで構築されます。
このように具体的に設定することで、まるでその人物が実際に存在するかのようなリアルなイメージを持つことができます。
ペルソナを明確に設定する利点は多岐にわたります。
例えば、ランディングページのコンテンツやデザインの方向性を決定する際、ペルソナを基にしたターゲティングは、メッセージの伝わりやすさや効果的なコンバージョンを促進するための鍵となります。
ペルソナについては以下の記事でも解説しています。
⇒限られたリソースで成果を最大限にする!Web集客戦略のつくり方
成果が出るランディングページ(LP)を作るためには
この記事では、ランディングページ(LP)について概要や構成、作り方について解説しました。
ランディングページ(LP)を制作する上で大切なことは、1ページにストーリー性をもたせ、アピールしたい内容を簡潔に伝えることです。
ただ、伝えたいメッセージをダイレクトに訴求するのではなく、読み手(ターゲット)の視点に立って作成することが大切です。
また、ランディングページ(LP)をただ作っただけですぐに成果が出るとは限りません。
ランディングページの成果を上げる一番の近道は、結果を分析し、繰り返し改善を行うことです。
この記事を参考にランディングページを作成してみてください。
参考文献
神田昌典著「コピーライティング技術大全―百年売れ続ける言葉の原則」ダイヤモンド社,2021